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世界中で支持される韓流カルチャー 重要なきっかけとなった、日本での『冬ソナ』ブーム

News-postseven 2023.08.12

ペ・ヨンジュンが来日した際には約3500人のファンが成田空港で出迎えた

ペ・ヨンジュンが来日した際には約3500人のファンが成田空港で出迎えた

 
 

 いまや第4次ブームといわれる韓流。コロナ禍における巣ごもり需要と相まってネットフリックスなど動画配信サービスが一気に普及。その波に乗り、日本でも『愛の不時着』(2019年)や『梨泰院クラス』(2020年)、『イカゲーム』(2021年)などが社会現象となり、もはやK-POP、コスメ、料理、ファッションなどは日常に欠かせないものとなった。

「韓流人気は日本にとどまらず、アジア、アメリカ、ヨーロッパでも多くのファンを獲得しています」

 そう言うのは、韓国カルチャーに詳しい作家の康熙奉さん。

「韓流コンテンツはブームというより、もはや1つのジャンルとして確立しています。世界中で、配信サービスの中心は韓国ドラマ(以下、韓ドラ)ですし、今年4月にはネットフリックスのCEOが『4年間で韓国作品に25億ドル投資する』と表明し、話題になりました」(康さん・以下同)

日本のドラマで竹野内豊と共演したチェ・ジウ

日本のドラマで竹野内豊と共演したチェ・ジウ

 
 

 また音楽の方でも韓国が世界を席巻している。米ビルボードのグローバルチャートでは、K-POPが軒並みランクイン。

 BTSとともに、世界中で人気のガールズグループ『BLACKPINK(ブラックピンク)』は、2022年、女性アーティストで初めて、米『ビルボードグローバル200』チャートで同時に2曲が1位と2位にランクインするなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。

 いまやワールドワイドに人気の韓流カルチャーだが、「そのきっかけの1つとして、日本の韓流ブームがあげられる」と、康さんは続ける。

「日本の第1次韓流ブームに火をつけたのは、2003年にNHKのBSで放送された『冬のソナタ』(以下、冬ソナ)といわれていますが、実は、その前からブームの土台はできていました。というのも、2002年に日韓共同でサッカーW杯が開催され、これをきっかけに新しい日韓の大衆文化の交流が試みられました。このとき日本から多くの人が観戦目的で渡韓。現地でドラマや音楽などの文化に直に触れ、興味を持つ人も増えました。それまで近くて遠い国だった韓国がグッと身近な存在になったのです」

 そんな中、日本のテレビ局が韓国の作品を放送するようになる。いち早く韓ドラを放送したのは、福岡のTVQ九州放送。航空学校を舞台にした『ザ・パイロット』という作品だが、深夜0時の枠ながら視聴率2〜3%台を叩き出した。次いで全国ネットのテレビ朝日でも2002年に『イヴのすべて』を深夜に放送するなど、韓ドラに触れる機会が徐々に増えていく。

「日韓W杯を記念して制作された『フレンズ』(TBS系)では、深田恭子(40才)とウォンビン(45才)が共演。ウォンビンは『韓国のキムタク』として日本で紹介され人気を得ました。

 そこにNHKが『冬ソナ』の放送を始め、主演のペ・ヨンジュンが日本でヨン様ブームとなり、平均視聴率14%以上を獲得。ヨン様とともにイ・ビョンホンやウォンビン、チャン・ドンゴン(51才)が『韓流四天王』として日本のメディアに取り上げられ、次々に韓ドラがテレビ放送されるようになりました」

 

 

韓国国内のみならず、映画『G.I.ジョー』シリーズなどハリウッドでも活躍するイ・ビョンホン

韓国国内のみならず、映画『G.I.ジョー』シリーズなどハリウッドでも活躍するイ・ビョンホン

 
 

韓ドラには日本人が好むすべての要素がある

 そもそも『冬ソナ』が日本でウケた理由を、康さんは次のように説明する。

「1つは美男美女が織りなす純愛ラブストーリーであったこと。圧倒的な映像美、そして切なさを増す音楽。これらは古くから日本のドラマに多く見られたものですが、当時の日本ではあまり描かれておらず新鮮に映ったからだと思います」

 また韓ドラを見て、どこか懐かしく感じるのは、韓ドラが少なからず日本のドラマや映画、音楽の影響を受けていることも大きいという。

「韓国は自国の文化を保護するため、1998年まではかつて統治されていた日本の映画やドラマ、音楽などの輸入を禁止していました。ただ、それは表向きの話。実はプサンでは密かに日本の番組を見ることができたため、わざわざ足を運んで見ていた韓国人もいたようです」

BTSとともに、世界中で人気のBLACKPINK(写真/getty=afp=jiji)

BTSとともに、世界中で人気のBLACKPINK(写真/getty=afp=jiji)

 
 

 その後、日本の大衆文化が解禁されると、韓国ではそれまでにも増して日本の作品を見る機会が増えていく。

「以前から岩井俊二監督(60才)の影響力は絶大で、映画『Love Letter』(1995年)の劇中内のせりふ『お元気ですか』は、韓国国内で流行語になりました」

 もう1つ、韓ドラが日本でウケた理由に、脚本の力があると康さんは言う。

「最初に、日本と韓国の脚本家の違いは何かといえば、韓国には才能を磨ける場所があるということがあげられます。

 日本の脚本家はシナリオコンクールを経てデビューする人が多く、仮にデビューできても、次の仕事が約束されているわけでもなく、実績を積む場を見つけることが難しい。だから、いつの間にか消えていく人が少なくありません。

 一方、韓国の場合は徒弟制度をとっており、大物脚本家に弟子入りし、5〜6年かけて脚本の極意を学びます。実力がついたら1〜2本作品を任され、人気が出たら何本も書きながら成長していく。だから、実力を開花させられる人が多いのでしょう」

※女性セブン2023年8月17・24日号

 

 

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